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第十二夜 Blessed Day @Tirana [Albania]

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夕方になるまで街歩きを続け、暗くなる前に宿に戻った。

がんばってアチコチ歩いたものの、ティラナにはやはり見るもの自体が少なく、
イキアタリバッタリの散策も最後は手詰まりとなってしまった。
「ナニカを観なくては」とか「ドコカに行かなくては」という旅ではないので、
見るものがないことにはさほどダメージを感じてはいない。

歴史的建造物とか世界遺産なんてものがあれば確かに大きなアドバンテージだが、
雑貨屋の店先で買い物する人を眺めたり、
小さな市場の店先をヒヤカシて歩いてみたり、
公園で夕涼みをしながら子供たちを遊ばせている家族の隣のベンチに腰掛けてみたりするだけでも楽しいのだ。
地元の人の生活に少しだけ入り込んでいるような気になり、異国を旅してるんだなあ、と改めて感じる。

ただ「異国にいること」は100%確かだけど、「入り込んで」いるのはほんの数%だけなのかもしれないけどね。

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「おかえり~」

例のドイツ3人組のうちのふたりがテラスのテーブルでビールを楽しんでいた。
このホステルは庭が広く、食事をとれるテーブルやクッションが散乱する東屋があり、
宿泊客の多くが時間に関係なく、自由気ままに庭のそこいら中で寛いでいた。
Wi-Fiを捕まえることもできるので、エアコンがない室内にいるよりも外のテラスが快適なのだ。

「あれ? ふたりだけ?」

「ああ、ルーカスは寝てるよ」

「ビール、おいしそうだね~」

「おかわり頼むから、ついでに頼もうか?」

このホステルはちょっと変わっていて、夕方になるとグラス・ビールを販売していた。
大方の滞在客はこれを気に入っていて、帰ってくると庭でグラスを傾けている。
一杯300レク(!)ぐらいなのでジュース気分で気軽に飲める、出かけないでビールに浸っている人もいるぐらいだ。

「ごめん、アルコール飲めないんだ。実はモスリムなんだ、というのはウソだけど、酒弱いんだ」

「ごめん、そうなのか。じゃあ、しゃべらないか、ビール抜きで」

「いいね、じゃあ、コーヒー淹れてくるわ」

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部屋にカメラ・バッグを置き、キッチンにあるコーヒーを取り、テラスに戻ると寝起き顔のルーカスが現れた。

「ああ、よく寝た。よし、おれもビールだ」

「ビールが目覚まし、とはさすがドイチェン(ドイツ人のこと)だね。
 じゃあ、ビールのアテにこれあげるよ」

そういってバッグにしまってあった「柿の種」の小袋を3人に手渡した。

「へええ、おもしろいスナックだね、日本のもの?」

「ライスでできているスナック、日本ではビールといえばコレなんだ。ちょっとスパイシーかもよ」

「おお、ちょっぴり辛いね。でもオイシ~、カタジケナイ」

油断するとパベルの妙な日本語に唐突に斬りつけられる。

「ん~、おもしろい味ね、これ。ドイツじゃこういうスナックで呑まないわね。
 ソーセージかチーズ、あるいはフランチ・フライ(ポテトフライの英語)かな。
 あ、そういえばあなた、FacebookのID持ってる?」

マルガレッタがチビチビと柿の種を齧りながら、スマホを差し出してきた。

「お! 交換しましょう!」

そういってFBのIDを交換し、UPされた互いの写真を見ながらさらに話は膨らんでいった。

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旅先で出会い、少し仲良くなるとかつては住所を交換し合い、次の旅先からエア・メールをしたためたりした。
それがいつの間にか「e-メールある?」という言葉に変わり、
今では「FacebookのIDある?」で、すぐにその場で繋がることができている。

こちらはスマホじゃなくて、PC担いでの旅なのでWi-Fi環境がないと少しばかりややこしいが、
どこの安宿でもWi-Fiは完備されているので、ホステルやゲストハウスで仲良くなった場合には問題ナシだ。

昨今はこんな感じのヤリトリが主流、そこをあえて旅先から親しい人にあえてエア・メールを書く、なんてのはいかが。

自分の家族はモチロン、ちょっとご無沙汰になってしまった人などでもハガキなら「旅」を言い訳にコンタクトが取れますぜ。
昨今はアジアなら3日ぐらい、USやEUでも一週間かからず着きますからね。
ロマンティック派なら旅先から自分宛てに書いてみたり、なんてのもアリですぜ。

ホステルで出会うヨーロピアンはけっこう絵葉書を書いている人が多いんですね。
ヒマツブシのひとつなのかもしれないけど、旅先からその人に思いを馳せるのもなかなかいいものかと。
旅先じゃないとね、こういうのはこっ恥ずかったりしますし、
Webに楽しそうな写真UPされてもね、こっちは休日出勤で忙しんだよ、なんてイラッとされたりするだけだったり。
あ、イラッとさせているのは、おれか。

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「ハーイ、ジャポネ! 君、ディナー、行くの?」

別の宿泊客から、そう声をかけられた。

「え? なにそれ?」

「あ、さっきマネージャーがみんなに声かけてディナー行く人、募ってたんだよ。
 だから君も行くのかな、って思って」

「へえ、そうなんだ、そうなら行きたいな。ちょっと聞いてくるよ」

フロントにいたマネージャーに夕食の件を尋ねた。
スキンヘッドにヒゲ面、とちょっとばかりイカツイ感じの外見の彼だが、(写真6)
言葉遣いがていねいでものすごく親切なことはここに滞在してわかってきていた。

「ディナーって、今からでも加わることできますか?」

「おお~、歓迎歓迎。ダイジョウブだよ、席だけ抑えてあって料理は向こうで注文して、それをみんなでシェア。
 飲み物は別払いでたぶん1000レクもかからないと思うよ
 たくさんいるとニギヤカで楽しいから歓迎だよ、じゃあ20時にここに集まって」

昨日の食べ過ぎたキョフテの夕食の額を考えると、レストランでその値段は安いように思えた。

近所にカルフール(フランス系のスーパー)があったので、夕食はキッチンで適当に済ませるつもりでいた。
ブログでも繰り返し記しているが、一人旅にマイナスがあるとしたら「一人飯」がその大半を占めている、
その欠点を回避できるなんて、嗚呼、舞い降りる幸運。

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「キミタチは行かないの?」

「ああ、さっき前のケバブ屋で食べちゃたんだよ。昼食がヘンな時間だったからおなか減っちゃって」

「あのロータリーのそばの店? あそこ、うまいよね? 昨日の夜、食べたよ」

「それに驚くぐらい安い! ビールに合う! チーズもウマイ! カタジケナイ!」

夕食ご一向様はマネージャーに自分を含めた10人、「歩いて行ける」ということでゾロゾロと歩いてレストランを目指した。

『スカンデルベグ広場』を横切り、『Rr.Kavajes(カヴァヤス通り)』をひたすら西に進む。
みなとしゃべりながらの道行きだったのであまり気にならなかったが、歩みは止まらなかった。
さすがに途中で「おいおい、どんだけ歩くんだよ」と気になりはじめると列の先頭が立ち止まり、
みなが固まったそこには古風なアルバニア・スタイルのレストランがあった。

時刻は20:30を回っている、時間通り集合したので軽く30分は歩いた計算だ。

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それぐらいの距離を歩くことは気にならなかったが、この旅でヨーロピアンはよく歩くと感じていた。
ドゥブロヴニクで一緒だったダニエルと彼女も旧市街からバス・ターミナル側の宿まで気にもせず、小一時間は歩いたし、
ドイツ3人組もこのホステルまでバックパックを背に苦も無く歩いてついてきていた。

駅から徒歩15分ぐらいの圏内で動くことが多い日本人とはおそらく生活スタイルが違うのかなあ、
そういえばシンガポール生活では10分と歩かなかったなあ、なにせ汗だくになっちまうからなあ、
などと席についてからも考えていると、眼の前にメニューを差し出された。

「英語版だよ、それぞれ好きなものを頼んで、みなでシェアしよう」

マネージャーがメニューを配りながらみなに説明する。

「でもどれが名物か、ドレがおいしいか、わからないんで、代わりに頼んでくれませんか?」

「ああ、それがいいアイデアだ、そうしましょう!」

メニューを見ても地元料理の名前はわからないし、できることなら店のオススメ、オイシイところを食べたいので、
勝手知ったるマネージャーに任せた方がハズレがない気がして、そうツブやくとテーブルのみなが同調してくれた。
ちょっとズルイ作戦だったかな。

「じゃあ、ナニ肉が食べたいか、どの野菜が食べたいか、それを聞いてオーダーするよ。
 飲み物はそれぞれ自分で考えてくれ~」

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マネージャーは機転を効かせ、みなの要望を聴き、まとめると手際よく注文を入れてくれた。
次から次にテーブルに現れる皿を順に回し、ニギヤカに食卓は進んだ。

「足りなかったら追加するから、気に入った料理があったら覚えておいて!」

やってきた料理をいぶかしげに見送る人もいれば、興味本位で口にしてみる人もいる。
宗教的に飲めない人もいるので(本当)呑みたい人は呑み、飲まない人は飲まず、
ベジタリアン(本当)は野菜料理だけを攻め続け、
極東の野蛮人(自分)はスキキライなく出てくる皿をひと通り味わっていた。

アルバニア料理をタップリ味わう一日、食卓を囲む相手に恵まれた一日、ランチにディナーに、旅先で恵まれた一日。


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