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第十五夜 Macedonian Coffee @Skopje [Macedonia]

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バス・ターミナルへ戻る途中、パン屋の前で足が止まった。

飾り気のない店だったが、地元の人たちで混んでいる。
「昼前」という時間帯のせいでもあったろうが、この店だけやけに人で充たされていた。
迷わず昼飯用にパンを買うことにした、こういうところは鼻が利くのだ。(写真2)
パンならスコピエへの移動のバスの中で食べてもいい、もっとも肝心のバス・チケットをまだ手にしてないが。

店内のガラスケースにはホトンド物がなく、食パンやクッキーなど出来合いの袋詰めが並んでいるだけだった。

木製のカウンターに奥から運ばれてきた出来たてのパンが置かれていく。
白い割烹着姿のおばちゃん二人が客のオーダーを聞いてはそれらを手際よく紙の袋に詰め、
どんどん捌いては次の客に対応していた。
少しするとまた奥から焼き上がったパンが出てきて・・・というループが繰り返えされていた。

忙しそうなおばちゃんを煩わさないように前の男性に続いて、
「これとこれください」とカウンターの上に並んだパイと切り売りのピザを指差した。

「はい、これとこれね。65デナリよ。手さげ袋いる?」

マケドニア語はさっぱりだったが、そんなニュアンスだけは汲み取れた、
金額は伝票に書かれ、隣のレジで払う方式だ。
パンは個別に紙の袋に収めてくれているので「いらないです」と手を振り、コンビニ袋は断って、そのまま受け取った。

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パンをブラ下げ、バス・ターミナルへ。

「12:45の『スコピエ』行き、1名、ください」

「500デナリよ」

特に心配もなく、あっさりとスコピエ行きのバス・チケットを手にし、すぐそばの宿に戻る。
時計は11:30を指していた。

「やあ、スコピエ行きのミニバスは買えたかい?」

入口でばったりオーナーのヴァレンティンさんと遭遇。

「いや、ミニバスは満席で売り切れでした。12:45のバスで行くことにしました」

「バスなら目の前だから楽だね。出発ギリギリまでいてもかまわないよ、5分前でも間に合うしね」

「ありがとうございます」

通常、チェックアウトのスタンダードは12:00、アバウトに遅くしてくれたのはありがたかった。

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「まだ時間あるから、コーヒー飲むかい?」

このオーナーはこちらのコーヒー好きを覚えていてくれて、顔を合わすたびに「コーヒーどう?」と言ってくれる。
わずか一泊の客にも関わらず。

「わ、長距離移動の前にうまいコーヒー飲めるなんてうれしいな。
 コーヒーと一緒にこのパンでランチにします、すぐそこで買って来たんです」

「ああ、あそこのパン屋? あそこはうまいよ」

地元の人が愛する店の味、地元のコーヒー、たかだかパン2つ、150円ほどのランチだが豊潤な昼食になった。

「スコピエはどこに泊まるか決まっているの?」

「いえ、着いてから探すつもりです。あるいは今、部屋でWi-Fi繋いでネットで探そうかと」

バスが確定していなかったので、いつものネットでの安宿予約もまだ試みていなかった。
たとえ予約ナシでも一人のバックパッキングなので、
スコピエのバス・ターミナルに着いてから安宿街へ向かえば問題ない、と思っていた。

「スコピエに『2』があるから泊まるかい?
 義理の妹が4ヶ月ぐらい前にスコピエでホステルを開業したんだ、『ヴァレンティン2』だ」

「う? そうなんですか? じゃあ、新しくてキレイですね」

繰り返し記してきているが、ドミトリー滞在でも新しいなら歓迎、
そうやって快適度の高い新しい宿ばかりを狙って旅してきている。
ベラートとここオフリードと連続でシングル滞在できたので、そろそろドミでもかまわないかな、とも思っていた。

「使うかい? もし泊まるなら連絡入れておくよ。
 あとオフリッドとスコピエと両方滞在してくれた人は割り引きしてるんだ」

「え? 『1』と『2』を使うと割引なんですか?」

「オフリッドからスコピエでも、スコピエからオフリッドでも両方泊まってくれたら割り引きするよ。
 旅先で誰かに聞かれたらそういって宣伝してくれてかまわないよ」

「おっと、その前に宿代払わないと」

そういって別にしておいた宿代610デナリを支払った、シングルで1400円弱(!)ですぜ。

「ありがとう。おそらく同じバスで息子がスコピエに遊びに行くはずなんだ。
 『2』もバス・ターミナルに近いけど、よければ案内させるよ」

「うわ、それは助かります。新しい宿を教えてもらって、おまけに案内付きなんて」

「おっと、ランチ食べるヒマがなくなっちゃうね。あとは部屋にカギを置いて出発してかまわないから」

そういってヴァレンティンさんは上の階に消えて行った。
鉢合わせから2ステップぐらい飛ばしての急展開、スコピエでの宿探しが省け、知らない街での不安が消えた。
「新しくて」「バス・ターミナルに近い」宿なら願ったり叶ったり、オマケに割引してくれるなんて。

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お言葉に甘え、ギリギリまで部屋を使い、5分前にターミナルに向かうとバスは定刻通り12:45に出発した。(写真5)

車内はそこそこ混んでいたが、2つの座席を使うことができ、あぐらをかいて文庫本に没頭することができた。
14:05『Kichevo(キチェヴォ)』という町で幾人かの客を降ろし、
14:40ガソリンスタンドで給油兼トイレ・ストップ。
レギュラー・ガソリンはリッター「80デナリ」と表示されている、物価に比べるとかなり高い。(1L≒170円)

長い峠を越え、16:30、『Skopje(スコピエ)』のバス・ターミナルに到着した。

マケドニアの首都というだけあり、バス・ターミナルはかなりのサイズと多くの利用者でごった返している。
すぐ隣りには鉄道駅もあるので、行き交う人も多いのだろう。
久々の人混みに少しばかり気後れしていると、声をかけられた。

「ホステル、こっちだよ」

なりたての中学生、あるいは小学校高学年という出で立ちの背丈の男のコだ。
あ? ヴァレンティンさんの息子さん? あれ? いたのね?

「スコピエに行く」といっていた息子にはバス・ターミナルでもトイレ・ストップでも声をかけられることがなかったので、
てっきり別のバスになったのだろうと思い込んでいた。
顔を知らなかったので探しようもなく、「ホステルの住所」と「バス・ターミナルのすぐ横」という情報が手元にあったので、
案内役の彼がいないことをたいしてマイナスにも考えていなかったのだ。
どこからか見守っていてくれたのか、あるいは自分のペースで動きたかったのかわからなかったが、
ワサワサしたバス・ターミナルで声をかけてきてくれた。

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「あ、いたのね。宿はすぐ近くなの?」

「ターミナルのすぐ隣のブロックです、案内するほどじゃないんですけど」

「いや、助かるよ。スコピエにはなんの用事で来たの?」

「服を買いに。ついでに映画を観るかもしれないです」

「へええ。映画好きなんだ? マケドニアの映画はいくらぐらいなの?」

「ええ、月に一回ぐらいはここに観にくるかな。
 映画はモノによりますけど400とか500デナリですね。日本では映画はいくらするんですか?」

円貨にすると1000円前後、新作は高く、封切から日が経つと安くなるらしい。
しっかり学校で勉強しているのだろう、お父さんよりも流暢な英語で会話を続けてくれた。

「日本ではえ~っと、800~900デナリぐらいかな。
 2~3本、見られるところもあるけど、料金はどこもその値段だね」

「うわ、高い!!」

そう、これは世界中で聞く言葉、日本の映画館は異常に高い。
何曜日だかの「レディス・デイ」だとしても世界基準からはまだ高く、先進国でももっとも高い部類といってもいい。
「『アベンジャーズ』がおもしろかった」とか「『スターウォーズ』の新作が楽しみ」とか、
他愛のない映画バナシをしていると、5分もせずに着いた集合住宅のブロックを彼が指差した。

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「ここです、この上です」

拍子抜けするぐらいあっさりと次の宿『ヴァレンティン2』に到着。
ドアを開けて出迎えてくれたのはヴァレンティンさんの義妹らしく、やって来た甥っ子と明るくハグを交わしている。

「お義兄さんから連絡もらっているわよ、入って入って」

4時間かけてやって来たカワイイ甥っ子にアレヤコレヤと近況を聞きながら、こちらも招き入れてくれた。
家族の仲睦まじい姿を見るのはこちらも微笑ましく、チェックインの手間を割いてもらうことに気が引けた。

「ねむい~、寝てくる」

伯母の手厚い歓迎を気にも留めず、甥っ子はドミのベッドに向かっていった。
思春期の男のコなんてドコの国でも似たようなものなのだ。

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「ごめんなさい、久しぶりに会ったものだから、わたしのほうが興奮しちゃって」

「いいんですよ、彼に案内してもらって助かったし、気にしてません」

「よかったらコーヒー飲む?」

「え? いいんですか?」

どういうわけかこのところ「コーヒー運」がいい、そんな運勢があるかは知らないけど。

「今、お茶飲もうかと思っていたところなの。マケドニア式のコーヒーを沸かすわ」

「ヴァレンティンさんにもたびたびごちそうになりました」

「お義兄さん、コーヒー好きなのよね。あなたもお好きなの?
 だとしたらキッチンのコーヒー、好きに飲んでいいわよ」

おお~、チェックインと同時にうれしい知らせ。
安宿だろうがなんだろうが、フレッシュなコーヒーが飲めるだけで「いい宿」認定だ。

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「あとでマケドニア式のコーヒーの淹れ方を教えてください」

「いいわよ。トルコ・コーヒーと似ているけど、マケドニア式はちょっと違うのよ」

ハーブ・ティが好きだという彼女だったが、「マケドニア・スタイル」のコーヒーはちょっとした自慢のようだった。

4ヶ月前にオープンしただけあって、キッチンやリビングは新しく明るい。
借りたトイレの脇にあったシャワー・ルームも当然、清潔でキレイに保たれていた。
割り当てられたドミトリーのベッドも新しく、ベッド下のロッカーや枕部分のコンセントなど便利に造られていた。

「彼はさっきチェックインしたばかりのニュージランドの人。あなたもコーヒー飲む?」

リビングにいた彼と握手を交わし互いに自己紹介、見知らぬ旅人とちょっとしたコーヒー・タイム。


オフリッドからスコピエへ。
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