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第十六夜 Gentle Heart @Pristina [Kosovo]

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『オールド・バザール』のひと時を満喫し、宿に戻り、ベッドを空け、出発の準備を整えた。

「何時のバスで出発?」

「15時です、ランチ食べてどこかをブラブラしていたらちょうどいい感じかなと」

「うちでコーヒー飲んでいてもいいわよ、荷物もあるだろうし。
 短い時間だったけどアレコレ話したから名残惜しいわね」

ニコレッタさんの優しいお言葉。

「そうですね、もう少しスコピエでゆっくりしたかったんですが、日数が詰まっているんで残念です」

「イスタンブールから日本に戻るんでしたっけ?
 わたしもいつか行ってみたいわ~」

「いつでもどうぞ~! その際はいつでも案内しますよ」

社交辞令でなく、そう告げると「いつ行こうかしら?」とニコレッタさんは考え出した。
お互いにメールアドレスを交換、これでいつ来てもOKだ、ただしこちらが日本にいるときに限るけど。

「お言葉に甘えて出発まで居させてもらいますね。
 じゃあ、お昼ご飯食べにいってきます」

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あらためて近所のオススメレストランを教えてもらい、出かけた。
昼過ぎのこの時間、太陽光線が降り注ぎ、肌がグングン焼けるような熱さだ。
それも歩道の木陰に入ると別世界、陽光さえ避ければいいので「暑い」というより「熱い」のだ。

オープン・テラスになっているレストランに入る。

ランチタイムを過ぎたというのに5組ほどの客がいて、店員は忙しそうにしていた。
昨夜のハズレ店を顧みるとすでに味の保証はされているような気がした。

メニューはキリル文字で書かれていて、さっぱりわからない。
店員に尋ねたものの英語は苦手らしく、イマイチ勝手が掴めなかった。
肉ならハズレはないだろうと「なんとかステーキ」と銘打った皿を頼み、炭酸水を注文した。

通りに面したテラス席なのだが、しっかりと日陰なので乾いた風が抜け、エアコンなしでも心地よい。
これが日本の夏であれば、テラス席でメシを食うなどというのは暴挙に等しく、すなわち汗まみれを意味する。
ここでは纏わりついてくる湿気がいない。
向こうに見えるアスファルトの路面は眩しく焼かれていたが、炭酸水が心地よくカラダに染み込んでいった。

やって来たナゾの料理は「ステーキ」というより「ハンバーグ」に近く、
中には煮こごりのようなゼリー状のものが入っていて、食感を楽しめるようになっていた。(写真3)

バスの時刻まで余裕があったので、今回は料理の写真もシッカリ。

カメラを仕舞い込み、食べはじめようとすると足元にニギヤカなギャラリーが登場し、こちらに催促をしてきた。
「みゃー」というリクエストにテーブルに供されたパンをちぎって地面に落としたが、彼らは見向きもしなかった。
う~ん、あんたたち舌肥えているのね、でも肉はあげないよ、床汚れるし・・・、
と素っ気ない対応を見せると、ギャラリーはすぐにほかのテーブルに移っていった、次のターゲットに狙いを定め。

ナゾのステーキ120+炭酸水15+パン10=145デナリの昼食、レストランのランチで300円ですぜ。

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あ、そうそう、ヨーロッパで食事なさる際、
バスケットに入れられ、テーブルに供されるパンは通常「有料」です。
ただしおかわりを求めても追加料金を取られることはありません、普通。
なので注文したメニューの額だけ払おうとすると不足することがあるので、ご注意を。
居酒屋の「突き出し」みたいなものだと思ってくださいな。

ツアーなどの食事では黙って出てきて、個別に支払う機会もないので気づきませんが、
個人で食堂(ビストロやトラットリア)やレストランを訪れた際には、
勘定書きに記されているので確認なさってみてください。

なんでそんなことを書き連ねたかというと、
この朝、部屋代370デナリを支払うと残金が少なくなったので、バス代はカードで帳尻あわせ。
マケドニアの通貨「デナリ」とも残り数時間の付き合いなわけで。
残金150デナリほどでレストランに入り、メニューと飲み物代で万事足りた、などと思ったわけで。
「パン10デナリ」と書かれた勘定書きにちょっとアセったのですね、これが。
このところ食堂レベルで「レストラン」に入ってなかったわけで。
昨夜はラルフが立て替えてのワリカンだったし。

ポケットのコインをすべて出してみて、ちょっと慌てたランチタイム、というわけです、とおさん。

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「コーヒー飲む?」

宿に戻るとニコレッタさんが声をかけてくれた。

「ありがとうございます。そうだ、発つ前に『マケドニア・コーヒー』の淹れ方、教えてください」

「あ、そうだったわね。今、手が空いているから教えてあげるわ」

そういって彼女はキッチンに立ち、準備をはじめた。
本当はレストランで食後のコーヒーを頼み、ゆっくり文庫本を開いて時間を過ごそうかと企んでいた。
ところが10デナリのコイン1枚しか残らず、コーヒーどころか炭酸水すら頼むことができなくなっていた。
キャンキャンキャンと尻尾を巻いて駆け戻ると、ああ、なんと、ここでコーヒーを淹れてもらえるなんて。

把手のついた小さな銅製の鍋でお湯を沸かす、
沸いたところで火を止め、そこにコーヒー豆を入れる、
そして再沸騰させるのが『マケドニア・コーヒー』の沸かし方、だそうだ。

「甘いのが好きなら砂糖は最初にお湯を沸かすときに入れてね、あなたはブラックだったわよね」

「『マケドニア式』と『トルコ・コーヒー』はどう違うんですか?」

「フフフ、同じよ。マケドニア人が入れたらそれは『マケドニア・コーヒー』だわ」

どうも延々とからかわれていたようで、彼女が言う「マケドニア式」はトルコ・コーヒーと同じ淹れ方だった。

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『Pristina(プリシュティナ)』行きのバスは定刻通り、15:00に出発した。

久々、ヨーロッパ・スタイルの新しくてキレイなバスに乗り込む。(写真5)
というか、バスのレベルが落ちたのはアルバニアだけのオハナシか。
「だけ」といえばアルバニアとマケドニアではトランクに入れる「荷物代」を取られることはなかった。
スロベニアとモンテネグロで取られたので、あるいは通貨ユーロの国のシステムか、
となるとコソヴォのバスは荷物代を取られるのかな。
http://delfin2.blog.so-net.ne.jp/2015-01-18

たいした額じゃないが、その国の残金がないときに言われると焦るんだよな、アレ。

いつものように後部ドアのすぐ後ろの席を陣取り、文庫本に没頭しようとすると、
スコピエ郊外で点々と止まってはポツポツと客を拾い、気づけば車内の座席はすべて埋まってしまっていた。

15:40、マケドニア国境で出国の手続き、16:10、コソヴォに入国。
出入国といってもバスの中で待機しているだけ、パスポートを差し出し、戻って来たものを受け取るだけで、
係官に睨まれたり、質問されたりという国境の「関門」的なドキドキ感はゼロ、
そんな感じでこの旅、6つ目の国に突入した。

17:30、コソヴォ・プリシュティナのバス・ターミナルに到着、首都から首都へわずか2:30のバス旅。

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バス・ターミナルは南西の町外れにあり、中心地まではかなりの距離がある。(写真7)
おまけにバス・ターミナルにまで路線バスが乗り入れてないので、
地元の人たちもバス停がある近くの住宅地まで歩き、そこから市バスを拾っているようだった。
地図を見ると大通りを北に向かえばいつか中心地にぶち当たるロケーションなので、歩いてみることにした。
夕刻だがサマータイムということもあり、まだ陽は高い。

目印となる『Cathedral of Blessed Mother Teresa(マザー・テレサ大聖堂)』に向け、
『Bul. Bill Clinton(ビル・クリントン通り)』という広い通りを歩き続けた。

途中、クリントンの銅像までご登場、
なんで彼の銅像があって通りに名が刻まれているのかは説明くさくなるので検索して調べてね。

「町の中心地まで行きたいんだけど?」

歩くのに少し飽きたので、水を飲みつつ、バイク屋のニイチャンたちに尋ねた。

「あれ、知ってるかい? アメリカの大統領だぜ」

(どうでもいいんですけど、その情報)と思いつつ、質問を重ねた。

「駅に行きたいのかい? それともダウンタウン?」

「いま、バス・ターミナルに着いたところでダウンタウンに行きたいんだ」

「じゃあ、おれらについて来いよ。駅まで一緒に行くぜ」

どうも英語の会話が噛み合ってないようで、駅に向かう男性二人のあとに続くことになった。
「ニホンジン」と告げるといつものように「カラテ」や「ナカタ」「ホンダ」「ヤマハ」と、
バイクだかサッカー選手だかわからない状態の話が沸き上がっては霧散していく。
宿までの長い道のりをおしゃべりしながら歩けるのは気が紛れて助かる。
それでも男性二人組なので、警戒心は緩めずに歩いた。

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「駅に用はないか? じゃあ、おれたちはコッチだ。あそこに見えるのが『マザーテレサ』だ」

『Bul. Tirana』と書かれた通りとの交差点で彼らは駅のある西へ折れ、こちらは大聖堂の北方面へ直進となった。(写真8)

「ありがとう、道案内してくれて」

「いいんだ、ついでだからね」

交差点で離れながらも彼らは振り返って手を振ってくる、それに応えるように「サンキュー」と声を返した。
すると最後に「I LOVE YOU!」と声が帰って来た、なんでだ?

それにしてもバルカン半島の人たちは底抜けに優しい。

民主化間もないからか、あるいは発展の途上にあるからか、理由はわからないがみながみな、親切だ。
そんなことならいっそ発展なんかしないほうがいい。
旅行者擦れしてしまい、あるいは外国人に馴れてしまい、優しい心根も変わっていってしまうのだろうか。

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そういえばアルバニアやマケドニアでは、停めたバイクやクルマはキー差しっぱなし、
そのまま用事を済ませたり、カフェでお茶したりとおそろしく治安もいいことに気がついた。
さながら日本の田舎のように「カギ」なんてしないのだ。

このあたりも「途上」だからか、あるいは「スレてない」国民性なのか。
いずれにしろアジアよりも緊張感ナシに旅行できるエリアであることは確かだ。
来るなら今のうち、旅慣れてない人でも安心して歩けますぜ、バルカンがバルカンであるうちにお越しあれ。

さっきの二人を疑った「旅慣れた」自分が少しばかり恨めしい。


スコピエからプリシュティナへ。
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